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登美丘高校をはじめ強豪揃いの大阪ダンス部!
その実力の秘密は関西人の気質にあり!?
東京勢はセンスと華やかさで対抗!?

関西ダンスの「強さ」の秘密

なぜ、高校ダンス部は、関西が強いのか。バブリーダンスの登美丘、絶対王者の同志社香里、だんじりパワーの久米田、そして本年の「ダンス部の甲子園」であるダンススタジアムを制した帝塚山学院、準優勝の堺西・・・さらに焦点を絞れば、大阪に強豪高がひしめいている。そのワケを『ダンスク!』編集長で、近著『ダンス部ノート』をものした石原久佳氏に聞いてみた。

◆技術至上主義と「縦」のつながり

 ダンス界は「西高東低」と言われる。ダンスのスキルは西日本優位。ダンス部に限っての話ではなく、日本のストリートダンス界全体の歴史でもその傾向はずっと続いている。1980年代、のちに「オールドスクール」と呼ばれる、ブレイク、ロック、ポップの3ジャンルは、福岡や大阪を拠点に盛り上がったと言われている。「オリジネイター」と呼ばれる海外ダンサーがそれらの地を訪れることが多かったという理由らしいが、その後も脈々とオールドスクールジャンルの技術継承が西日本で続いていった理由の一つには、彼らの気質も挙げられるだろう。

特に関西は、まず技術至上主義=「職人気質」なのである。

 ダンスの仕事で考えれば、関西に比べて東京ははるかに仕事のクチが多い。特に芸能仕事に関しては他と比べて質も量も圧倒的だ。東京では、芸能界やエンタメ業界が発展していて、ダンサーはそこに華を添える存在としていくつも職業としての居場所がある。関西はそれに比べれば芸能仕事は少ない。
 よって、ダンサーはレッスン仕事、いわゆる「教え=コーチ(講師)」で収入のほとんどを得ることになる。コンテストやバトルで名を挙げ、ショーケースで人気者になり、その知名度がそのままレッスンの集客につながるという地道な道のり。当然、技術レベルや指導力の高さが求められ、日頃の鍛錬も欠かさない。関西では、そういうレベルのダンサーたちが職とプライドをかけて自慢の腕を競い合う。

「ダンスタ」での5度の全国制覇を果たし、高校ダンス部での「絶対王者」としての君臨する同志社香里高校

 また、関西は徒弟制度のような「縦」のつながりが他の地域に比べて強い。

 東京はその辺りがあっさりしていたり、中には嫌う傾向もあるだろう。関西でオールドスクールが根強いのは、その「縦」のつながりによって色濃い伝統が継承されているからなのだ。94年に始まったストリートダンスの最古参コンテスト「JAPAN DANCE DELIGHT」は関西発信で、その歴代優勝チーム26の半数を関西のチームが占める。うちオールドスクール系のチームは10。もちろんオールドスクールだけでなく、ヒップホップ、ジャズ、ワックのチームも関西のレベルは高い。

逆に関西勢が東京のダンスで恐れるポイントが「センス」と「華やかさ」だという。

演出力やコンセプト、トレンド感や華やかさなどはやはり流行の先端をいく東京にはかなわない。登美丘高校のakaneコーチも以前に「東京は何をしてくるかわからない」と発言していた。だからこそ、関西勢は虎視眈眈と腕を磨く。肝を据えて、仲間を叱咤して、泣きながら苦しみながらスキルアップに全身全霊で打ち込んでいくのだ。

今年の「ダンススタジアム」の優勝は、こちらも大阪の帝塚山学院。創作ダンス出身で岡本太郎の大作「明日の神話」をテーマにした表現はもはや芸術!

◆ハンパない「エネルギー」のダンス

 スキルだけではない。関西のダンサーやダンス部のステージから放たれるテンションというか熱量、「エネルギーが違う」と感じるのは私だけではないはずだ。

   エネルギーというと抽象的な表現に聞こえるが、それは自分が何かを伝えようとする気持ちの強さだったり、相手や観客に即応していく反応力だったり、集団で連鎖し増幅していく波動のようなものと言えるだろうか。自分の体が細胞レベルで活性化し、それが表に出た時に高い「エネルギー」は放出される。

 また、ノリの良い大阪人はアメリカ南部の黒人に気質が似ていると言われるが、音楽の世界ではゴスペル、ブルース、R&B、ソウル、ファンク、ヒップホップなどのジャンルはすべて黒人から始まった音楽スタイルであり、どれもスタイル以前にメッセージや時代背景、「人間力」を全面に押し出したような音楽と言える。そして、そのすべてがダンスと直結しており、ストリートダンスと呼ばれるジャンルは常にこの文脈の上にある。ビバップ、タップ、スイング、ソウル、ワック、オールドスクール、ヒップホップすべてそう。だから、いわば黒人に気質が似ている大阪人がストリートダンスに強いのも当然と言えば当然なのだ。

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『ダンス部ノート』
石原久佳

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わずか150秒の舞台のために
なぜ女子高生たちは
青春のすべてを賭けるのか!?

----その答えは本書の彼女たちの「言葉」で詰まっています!!
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【日本初! 「女子率9割以上」、吹部を抜いた超人気部活】
★今回、高校部活ノートシリーズは「ダンス部」に焦点を当てました!
「ダンス部」は、「男子」から生まれた部活の歴史を覆す、誕生から主役が「女子」のクラブ活動です!
「バブリーダンス」で注目された「ダンス部」ですが、今や「吹部」「女バス」を抜いて
超人気No.1の「エンタメ部活」です。
★2000年生まれ以降の12年「中学校ダンス必修化」女子たちが、
顧問・コーチの助力を受けながらも、自分たちで言葉を尽くし、
たった一つの150秒の「作品」を生み出す。
その「ぶつかり合い・話し合い・涙まみれの格闘」の末に
みんなで「つながって」ステージに立つまでの「成長」を追いかけた「情熱ドキュメント」です。
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目標を掲げ、それを達成するまでに、誕生する【ザ・チーム】のプロセス。
「女子高生」が自主的に「目標」を達成するまでのチームを1年間、
全国大会超名門から常連強豪・進学校「全8チーム」を取材しています。
 
 
【DANCEで輝け!ウチらの青春】
01 品川女子学院(東京):伝統の女子力で勝負「品女」たちの4年半
02 三重高等学校(三重):「謎の勢い」を作った熱血顧問とキラキラセンター
03 千葉敬愛高等学校(千葉):「敬愛一家」が守り抜く「自主」の軌跡
04 広尾学園高等学校(東京):進学校でぶつかる二人の個性
05 大阪府立久米田高等学校(大阪):「日本一」から「つなぐ」へ
06 大阪市立汎愛高等学校(大阪):完全自主、喜怒哀楽「汎愛の伝統」
07 大阪府立堺西高等学校(大阪):凜とした女性らしさ「堺西」
08 同志社香里高等学校(大阪): 3連覇へ向けて絶対王者の「絶対評価」

★著者は音楽誌編集長を歴任し、中高「ダンス部」活動を黎明期から10年以上取材し、
自らダンス部専門フリーマガジン&ウェブ『ダンスク!』を立ち上げた石原久佳氏が
これからの日本社会をリードする女子たちの「等身大」の姿をしっかりと描き切りました。

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ダンス部専門フリーマガジン&ウェブ

 

 

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石原 久佳

いしはら ひさよし

1972年東京生まれ。日本大学卒業後、リットーミュージックにて『ベース・マガジン』『ダンス・スタイル』『ダンス・スタイル・キッズ』の編集長を歴任。J☆Dee`Z(現Jewel)をはじめとするダンス系アーティストやイベントをプロデゥース。現在は株式会社ディーエスケイの代表として全国中高ダンス部を応援するフリーマガジン&ウェブ『ダンスク!』を立ち上げる。音楽的視点からのストリートダンス評論や、教育的意義としてのダンスの可能性に注目し、コンテストでの審査員やテレビ番組でのコメンテーターなども務める。著書に『ダンス部ハンドブック』(ディーエスケイ)がある。


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